大国が安定的な国際秩序を保てなくなり、リーダー不在の「Gゼロ」の世界がやってくる──。そんな可能性を指摘し続けてきたのが、地政学リスク分析を行うユーラシア・グループの社長で、国際政治学者のイアン・ブレマー氏だ。

国際政治学者 ユーラシア・グループ社長 イアン・ブレマー

得意な分野に集中しアジアの安定に寄与を

Ian Bremmer / 1994年、米スタンフォード大にて博士号取得。98年、コンサルティング会社ユーラシア・グループを設立し社長に就任。(撮影:Richard Jopson)

世界でどんなことが起ころうとも、安全保障やサイバーセキュリティなどの分野では、日米は互いに信頼し密接に協力し続けるだろう。だが、経済関係の重要性は薄れていく。中国がますます力を持つようになっているからだ。中国経済は安定的に成長しており、政治も盤石だ。米国にとって、日本はアジアで最も親密な関係を持つ国だが、重要性は明らかに中国のほうが高くなる。

加えてTPP(環太平洋経済連携協定)の問題がある。トランプ候補とクリントン候補はどちらも、TPPに反対する意向を示している。これは「アジアにおけるキープレーヤーになる」という米国の意志が弱まっている証拠だ。クリントン陣営の関係者たちと話したが、ここ数カ月は一貫してTPPへの反対姿勢を示しているようだ。自由貿易に対する反感は強まっている。米国内の格差がどんどん広がっており、新しい大統領はこれに向き合わなければならない。

内向き志向強める米国 日本の重要性は低下

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