電通は9月に謝罪会見を開き、中本祥一副社長(写真左)など幹部3人が頭を下げた

「国内におけるデジタル広告において、広告主はじめ関係各位に多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫びします」

電通は9月23日、同社およびグループ会社が、ネット広告の活用支援サービスにおいて、故意または人為的なミスによる不適切業務を行っていたと発表した。広告実績には虚偽の報告が含まれ、一部の広告主に対し過剰に広告掲載費を請求していた。都内で開催した記者会見で中本祥一副社長は冒頭の謝辞を述べ、山本敏博常務、榑谷典洋デジタルプラットフォームセンター局長とともに深々と頭を下げた。対象となるグループ会社は、サイバー・コミュニケーションズ、DAサーチ&リンク、現在は電通デジタルに吸収合併されたネクステッジ電通の3社だ。

被害総額は現時点で約2億3000万円に上る。調査対象の広告主は1810社で、案件数は約20万件。9月22日時点で不適切業務と判断された案件は633件で、対象となる広告主は111社。不適切業務のうち14件(金額にして320万円)で広告を掲載していないにもかかわらず架空請求していた。たとえば広告を月間で1万回掲載する契約だったにもかかわらず9000回しか掲載していない場合でも、1万回分の広告掲載費を徴収していた。

マス広告の商習慣をネットに持ち込んだ

一連の事件は、トヨタ自動車からの指摘で発覚した。計画上の広告の出稿量に対して効果が想定に達していないことなどを不信に思い、広告の配信先である米グーグルから直接データを取り寄せた。電通のリポート上では広告が掲載されているはずの期間に、グーグルのデータ上では配信されていなかったのだろう。トヨタの指摘を機に、電通は社内調査を実施して虚偽の報告があったと判断。調査委員会を発足させて、全社的な調査に踏み切った。

不正は「運用型広告」という広告手法で行われた。グーグルやヤフーなどで検索されたキーワードに連動して、関連広告を検索結果画面に表示する「検索連動型広告」や、SNS事業者の広告サービスなどが対象となる。

運用型広告を活用するうえで重要になるのがデータ分析だ。管理画面で広告表示回数に対するクリック率や購買率、顧客の獲得単価といったデータをリアルタイムに分析する。このデータに基づき、効果の高い広告の予算を増やしたり広告デザインを変更したりするなどの「運用」を行う。広告代理店などに委託するのが一般的で、電通も請け負っていた。

プラスの視点 アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP