来年1月、第45代米国大統領に就くドナルド・トランプ氏。多くの人がその人物像を知ろうと「トランプ本」を手にしている。特にビジネスマン時代の著作は、トランプ流の発想が垣間見え、興味深い。ある「トランプ本」はこんな書き出しで始まる。

「私は金のために取引をするわけではない。金ならもう十分持っている。(中略)私は取引をするのが好きだ。それも大きければ大きいほどいい。私はこれにスリルと喜びを感じる」(『トランプ自伝──不動産王にビジネスを学ぶ』ちくま文庫)

原著は1987年の出版だが、新大統領の発想の原点に「取引」(ディール)があることがよくわかる。

「メキシコが送り込むのは、ドラッグと犯罪とレイプ魔」

「20万人のシリア難民を受け入れると耳にしたが、そいつらは『イスラム国』かもしれない」

しかし、選挙中の発言も一種の取引なのだろう。選挙後は過激な発言が鳴りを潜め、安全運転に徹している。たとえば、撤回すべきだと主張し続けたオバマケア(医療制度改革)は、11月10日のオバマ大統領との会談後、「一部を引き継ぐ」とその主張をトーンダウンさせた。

マーケットは、当初は不安心理が先行したが、その後は「トランプ相場」を予感させる動きだ。

トランプ氏当選が伝わった9日の日経平均株価は終値で919円安となったが、翌10日は1000円以上も上昇。ダウ平均株価は大統領選後、15日まで5営業日続伸している。選挙後の発言が予想に反して現実的であることや、1兆ドルというインフラ投資や大規模な減税が予定されていることを好感している。

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