[ポイント1]
2009年当時、下野していた自民党の情報露出量は燦々たるものだった。自民党は情報参謀を雇い、露出の強化に本腰を入れた

[ポイント2]
民主党の弱点を徹底的に突く手法で自民党の露出は急速に改善。折しも尖閣諸島での中国漁船衝突映像流出事件で、ネット情報の影響度は新局面に入った

[ポイント3]
「国防軍が必要」などと発言する安倍晋三氏の露出が増え、支持が広がる様相はネットで上端的だった。2012年の総選挙で自民党は政権奪還を果たす

 

「何ができるか、10分で説明してくれ」。2009年11月、私は自民党本部に突然呼ばれ、茂木敏充報道局長(本稿中の肩書はすべて当時)に求められた。自民党は8月の総選挙で、民主党に政権を奪取された。このときの当落結果を、私が参画していた予測プロジェクトが8割以上的中させたのだ。茂木氏の部下だった党報道局次長兼広報戦略局長の平井卓也氏を通して、分析手法の解説を求められ、冒頭の場面に至る。そしてこの日から4年間、私は党の情報参謀役を務めた。拙著『情報参謀』(講談社現代新書)で明らかにした4年間の全貌をここで概観しよう。

安倍氏の劇的な再登板を予想した議員はいなかった(撮影:尾形文繁)

情報量の分析で政情が浮き彫りに

予測プロジェクトは「クチコミ@総選挙2009」。私が取締役を務めるエム・データ社と、1990年代に国産検索エンジン開発に携わった内山幸樹氏が創業したホットリンク社、東京大学の3者で運営した。300小選挙区中241選挙区で予測が的中したが、重要なのは的中率の高さより、テレビ報道とインターネット上の口コミから抽出した「メタデータ」の分析だけで予測できたことだ。メタデータとは情報を構成する要素。たとえば飲食店データは場所や料理の種類などのメタデータで構成されており、メタデータなしにはネットで店舗を検索できない。

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