[ポイント1]
東京電力が起こした福島第一原発事故の賠償費用を国民から徴収する制度が導入されようとしている。配送電線の利用料である託送料金に上乗せする案だ

[ポイント2]
経産省は、賠償への本来の備えがなかったとして、過去にこれらの費用を含まない安価な電気を利用した人にさかのぼって負担を求めるという

[ポイント3]
柏崎刈羽原発は分社化案も取りざたされているが、買い手の有力候補の東北電力は否定的な姿勢を示す。原発は民間にはリスクが大きすぎるとも指摘される

 

 

世界最悪レベルの事故を起こした東京電力ホールディングスの福島第一原子力発電所。その被災者への賠償費用を、原発による発電が始まった45年前までさかのぼって広く全国の国民に負担させる仕組みが導入されようとしている。

11月29日に経済産業省が開催した「電力システム改革貫徹のための政策小委員会・財務会計ワーキンググループ」(以下、貫徹委財務会計WG)。経産省は「福島事故前に確保されておくべき賠償の備えがなかった」として、「過去にこれらの費用を含まない、安価な電気を利用した需要家に対しても、さかのぼって負担を求めることが適当」との考え方を示した。「過去分」と称する費用について、送配電線の利用料である託送料金に上乗せして徴収しようという仕組みだ。

この考え方には一部の委員から反対意見があったものの、経産省幹部は「金額の大きさが示されていない点で留保付きではあるが、広く負担が必要なことは一定の方向性を得られた」(小川要・電力市場整備室長)との認識を示した。

経産省がもくろむ賠償費用3兆円徴収策

現在の原子力損害賠償法は、原発事故が起きた場合の賠償金額について1200億円を上限としている。福島事故では、除染費用を含む要賠償額がすでに8兆円近くに迫っている。この差額については現在、国が東電に資金を援助したうえで、数十年の長期にわたって回収する仕組みが設けられている。東電のほか関西電力や中部電力など、原発を保有する電力会社から「一般負担金」として徴収する。

だが、「現在の原子力事業者の相互扶助の仕組みだけでは、回収が困難」と経産省は判断した。電力自由化が進み、原発を持たない新電力のシェアが高まっていることが理由だとされる。そこで同省が考え出したのが、現在の賠償の仕組みができる前の電気の費用について、「本来含まれるべき原発事故の賠償費用が含まれていなかった」という理屈だ。

プラスの視点 アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP