大阪大学の澤教授とテルモのグループが開発した「ハートシート」で、心臓疾患を抱える患者に向けて再生医療は一歩を踏み出した。次の一手は、iPS細胞から心筋細胞を作り、シートにすること。脚の骨格筋芽細胞から作った「ハートシート」と異なって、心臓の筋肉細胞シートをiPSで作って直接貼るため、悪くなった細胞そのものを入れ替えることができるようになる。余力のある患者にしか使えない現行の「ハートシート」からさらに重症患者治療に踏み込んで、ほんとうの意味で、移植代替技術となる可能性が高い。このiPSを使った治療法の開発も着々と進んでいる。

科学者であると同時に現役の心臓外科医でもある澤教授の目線は常に患者に向いている。心臓という生死に直結する臓器であり疾患であるだけに、患者を助けたい、そのために新しい技術を開発する、という強い思いが澤教授を動かしているようだ。

さわ・よしき / 1955年生まれ。1980年大阪大学医学部卒業。ドイツのマックス・プランク研究所心臓生理学部門・心臓外科部門留学などを経て、92年大阪大学第1外科助手、98年同講師、2002年同助教授、06年大阪大学大学院医学系研究科教授。15年から同大学大学院医学系研究科長・医学部長。同年から日本再生医療学会理事長も務める。専門は心臓血管外科で、自ら執刀もする。(撮影:今井康一)

iPS細胞のハードルは越えられる

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