米国におけるドナルド・トランプ次期大統領の誕生は、米国国民の経済格差への不満を浮き彫りにした。中間層の消滅に警鐘を鳴らし続けてきた経済学者、ロバート・B・ライシュ氏は現状をどう見ているのか。

米カリフォルニア大学バークリー校教授 ロバート・B・ライシュ
Robert B. Reich / 1946年、米国ペンシルベニア州生まれ。ハーバード大学教授などを経て、現在はカリフォルニア大学バークリー校公共政策大学院教授。ビル・クリントン政権で労働長官を務めた。

政府か自由主義かを選ぶ議論はもう意味がない

──近著『最後の資本主義』で伝えたかったことは?

富と政治の関係や経済格差が拡大していることについて、もう触れるつもりはなかった。われわれはすでに、政治に大量のおカネが流れ込んでいることを知っているし、共和党のドナルド・トランプ氏と(貧困対策などを主張した)民主党のバーニー・サンダース氏の議論が茶番だということも知っている。

考えるべきは大きい政府か小さい政府かというサイズの問題ではない。政府はいったい誰のためにあるのかということであり、市場形成に与える影響力を圧倒的多数の人々の手中に取り戻すべきだ、ということを著書の中で訴えたかった。

──「資本主義は信頼のうえに成り立っており、そのゲームが茶番だと信じている人は早口でいい加減な考えの政治家にとっていいカモになる」と辛辣な表現もあります。

この本を書き終えたのはトランプ次期大統領がまだ誕生する前だったが、すでに私の著書を読んでいた人はこの言葉の意味を理解するのに苦労しなかったはずだ。トランプ氏には原理やイデオロギーがない。自分のエゴのためであれば、何でもする病的なナルシシストだ。

──政府は誰のためにあるべきなのでしょうか?

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