[ポイント1]
水産業の町、宮城県気仙沼市の造船は、折からの魚介類消費量の落ち込みを受けて長期低落傾向。そこに東日本大震災が襲い、各社は深刻な被害を受ける

[ポイント2]
創業80年の木戸浦造船も同様だったが、木戸浦健歓社長は事業継続を決意。この震災を奇貨として腹案の経営統合構想を地元の造船会社に説いて回る

[ポイント3]
当初は組合形式を目指したが、議論の末に4社が合併して「みらい造船」を創設し、木戸浦氏は社長が就任することに。海外受注も視野に入れる

 

 

宮城県気仙沼市の、海が深く入り込んだ港の埋め立て地で、新しい造船所の建設が始まった。その名は「みらい造船」。東日本大震災で被災した造船4社が合併を前提に建てている。総事業費105億円のうち70億円は国土交通省の補助金を充てる。2016年10月の起工式には国土交通副大臣の田中良生も駆け付けた。国は意地でもプロジェクトを成功させたいようだ。

鍬入(くわい)れを終えた、みらい造船社長の木戸浦健歓(きどうら・たけよし)(木戸浦造船の社長を兼任)は「うれしさと責任を感じます」と背筋を伸ばした。

建造中の巻き網漁船を背に、漁業造船の未来を見つめる。「一に人、二に人、三に人」と人材の育成を最優先に掲げる(撮影:尾形文繁)

敷地には機械整備や電装、燃料調達など10社以上の関連事業者も入る。地元では「造船団地」と呼ばれている。みらい造船は単なる復興の象徴ではない。官民挙げて水産業を奮い起こす、起死回生の勝負手なのである。

すべては震災の混沌から始まった。

プラスの視点 アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP