Frank N. von Hippel●米クリントン政権時に科学技術政策局国家安全保障担当次官を務めた。「核分裂性物質に関する国際パネル」前共同議長。(撮影:尾形文繁)

使用済み燃料の再処理はさまざまな問題をはらんでいる。

資源の有効利用という面では低濃縮ウランを10%強、節約できる程度だ。一方でMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料の製造コストは低濃縮ウラン燃料の10倍にもなるという試算がある。このことからも明らかなように、再処理に経済性はまったくない。

推進側は、再処理は高レベル放射性廃棄物の有害度や量を減らすと説明する。しかし、使用済み燃料とガラス固化体だけを取り上げて、処分場の面積や有害度の推移を比較しても意味がない。再処理の過程では、さまざまな廃棄物が発生する。試算ではそれらも含めての比較がされておらず、ミスリーディングだ。

再処理は重大事故のリスクもはらんでいる。1957年に旧ソ連の軍事用再処理工場で、高レベル放射性廃液の貯蔵タンクが爆発事故を起こし、約1000平方キロメートルの範囲で住民が避難を余儀なくされた。このほかにも、欧米を含む多くの国で深刻な事故を引き起こしている。

核セキュリティ面でも懸念を持たれている。原子爆弾の材料となる膨大な量のプルトニウムを生産する行為自体が、核兵器開発の疑念を抱かれたり、テロ攻撃の標的にされたりする可能性を有する。

世界の流れに逆行

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