[ポイント1]
2006年、最高裁は利息制限法の上限15~20%を超える利息は違法と判断を下した。それまでに払った利息の返還請求権は取引終了から10年間だ

[ポイント2]
返還請求のテレビCMは10年経ったいまも続く。06年以降、過払い金返還請求額は累計6.3兆円に達し、貸し金業者は8割、貸付残高は7割も減った

[ポイント3]
一方、個人の借り入れ総額を年収の3分の1に抑える総量規制が適用されない銀行カードローンが、多重債務の新たな火種になりかねないとの指摘がある

 

 

東京・新宿区。駅前の雑居ビルにある店舗に入ると、若者の後ろ姿が目に飛び込んできた。カウンターで申込用紙に記入でもしているようだ。借金する場所と気負ってしまうからだろうか、消費者金融の窓口には、銀行などとは異なる独特の雰囲気が漂う。

この消費者金融は、今年79歳になる社長が40年前、自動車部品メーカーを脱サラして立ち上げた。従業員は20人。貸付残高は32億円で、1万9000人の顧客がいるという。1人当たり残高は約17万円なので、小口貸し付けをメインとした中小規模の業者といえる。

2006年に改正貸金業法が成立してから、昨年12月で10年が経過した。同法によって貸し付ける際の金利は年29.2%から年15~20%(借入金額に応じて異なる)に上限が引き下げられ、個人の総借入残高を年収の3分の1以下に抑えるという「総量規制」も導入された。いずれも、複数の業者から借金を重ね深刻な場合は自殺にまで至ってしまう多重債務問題の解決が目的だった。

効果は絶大だった。5件以上借り入れていた債務者は、06年度末時点で171万人もいたのが15年度末には12万人と激減。一方で貸金業者は淘汰の波にのみ込まれ、業者数は8割減、消費者向け貸付残高も7割減少した(図表1)。

[図表1]
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廃業が相次ぐ中、この社長は「残高を追わずに顧客数を伸ばすことに力を入れてきた」と明るく話す。しかし弁護士からファクスで送られてきたという一枚の紙を取り出すと、深刻な顔つきに変わった。

表題は「過払い金返還請求受任通知」。ある債務者に関する完済分も含めた取引履歴に加え、過払い金がいくらになるかを業者側で再計算したうえでその額も送るように求める内容だ。さらに「年5%の利息と弁護士費用10万円を付して、早急に下記口座にお振り込み下さい」とある。「ファクス一枚で振り込ませようというのか」と社長は憮然として言った。

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