[記事のポイント]

(1)アパレル大手・三陽商会が15年に英バーバリーとのライセンス契約が終了して以降、過去最大の営業赤字を計上し窮地に陥っている

(2)バーバリーから契約見直しの打診は5年前にあったが、元カリスマ営業マンの杉浦昌彦社長(当時)は危機を察知する感度に欠けた

(3)今年就任した岩田功社長はEC・直営店強化や新ブランド投入による再起シナリオを描くが、その芽が出るまで持ちこたえられるか

 

「本当は定年までいるつもりでした。私は三陽商会という会社が大好きでしたから。でも最終的に、退職して第二の人生を歩むことにしました」。穏やかな物腰が印象的な中年男性のAさんは、寂しげな表情でそう話す。彼は、三陽商会が2016年6月に発表した希望退職に応募した元社員である。

同社にとってこれは2度目となる希望退職の募集だった。13年に創業以来初となる希望退職を行った際、「英バーバリーとの契約終了を考慮したもので、最初で最後」と説明していた。約束はわずか3年で破棄されることになった。2回目は40歳以上の社員を対象に、全体の2割に当たる約250人を募集した。Aさんを含む249人がそれに応募し、12月末をもって退職した。

Aさんは会社から特別退職金と再就職支援を受けた。退職金の割増金額は45〜56歳であれば基本給の30カ月分が用意される。再就職支援は、会社負担で最長2年間受けられる。これは同業他社の希望退職条件と比べても破格だろう、という。

しかし、愛社精神の強いA氏の退職は、単に条件のよさに引かれたためではなかった。当初は辞めるつもりはなかった彼は、昨年9月から直属の部門長と繰り返し面談を重ねるうちに、しだいに応募へと気持ちが動かされていったという。

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