[記事のポイント]

(1)「メイカー」は製造業を指すメーカーとは異なる新しい概念で、新しい形のものづくりプレイヤーのこと

(2)デジタル工作機械、インターネット、クラウドファンディングの普及で製造、販売、資金調達が容易に。ものづくりの敷居が下がった

(3)深センにはメイカーを支援するサービス、ラボや製造パートナー、そしてメイカー文化を発信していく活動が根付いている

 

2012年の『メイカーズ』刊行以降、「メイカームーブメント」という言葉が一般紙や経済誌でも使われるようになった。著者のクリス・アンダーソン氏はロングテールやフリーミアムといった新しい概念をうまく言語化し、社会に定着させてきた。

メイカームーブメントとは従来の開発・製造とは違い、個人的な欲求や動機に基づいてものづくりを行うホビイストが、大企業の製品と同様に世に流通しうる製品を生み出す一連の動きを指す。製造業を指すメーカーとは異なる新しい概念で、新しい形のものづくりプレーヤーを「メイカー」と表記する。

メイカームーブメント以前と以後で、こうしたホビイストを取り巻く状況は劇的に変わった。かつて自分のアイデアを製品化し広く社会で販売するには、大手製造業に勤務するなど、ふさわしい場に身を置く必要があった。だがインターネットの進歩とデジタル工作機械の普及で、知識の共有やクラウドファンディングなどによる資金調達は誰にでも開かれたものになり、「ものづくりの民主化」が起こった。

今や「ものを作る」というのは、漫画を描く、音楽を演奏するといったことと同様の創作活動として定着しつつある。ものづくりの民主化は、ものづくりの同人活動を生んだのだ。『メイカーズ』の副題に「21世紀の産業革命が始まる」とあるため、量産・製造の観点で引用されることも少なくないが、実際には書籍の内容の大半はこうした同人活動から製品が誕生する過程についてだ。

プラスの視点 アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP