私は、自衛隊初の特殊部隊に創隊から足かけ8年在隊し、42歳の時、転勤の内示を受けたため退職した。退職の翌日には、自分の技量を維持するため、撃てて、潜れて、平和ボケしない地を求めてフィリピンのミンダナオ島へ向かった。

そこでの生活を始め1カ月ほど経った頃、ある人の紹介で若い警察官と会った。私は、目の使い方、引き金を引く指の使い方、銃の重心コントロールなど射撃の基本的なことを説明した。彼は、翌日に開催される警察署対抗の射撃競技会に参加するため出張してきているのだという。

「あなたも大会に出ませんか?」

「警察の競技会に外国人で元軍人の俺が出られるわけないだろ」

「規則を変えます」

「そんなことできるの?」

「できます」

「本当かよ? 君に変える権限なんかないだろ?」

「私にはありませんが、権限を持つ者がノーと言うはずがありません」

「何で?」

「あなたが参加して、私たちは失うものがありません。あなたが銃をどう扱って、どんな射撃をするのか、私たちには得ることしかありません。だから、ノーと言うはずがありません」

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