【今週の眼】早川英男 富士通総研エグゼクティブ・フェロー
はやかわ・ひでお●1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』。(撮影:梅谷秀司)

失業率は3%まで下がり、有効求人倍率はバブル期のピークさえ抜きそうな勢いである。しかも、この人手不足は今後さらに深刻化していく可能性が高い。

アベノミクスの最大の成果は雇用情勢の改善にあるといわれる。確かに生産年齢人口が年率1%近く減る中で、第2次および第3次安倍晋三政権の4年間に就業者数は200万人以上増えており、これは印象的な数字だ。もっとも、その内実を見ると、増えたのはもっぱら非正規雇用の短時間労働者であり、人数×労働時間で測った労働投入量はほとんど増えていない。だから、経済成長率は高まっていないのである。

短時間労働者が大幅に増えた理由の一つは、団塊世代が65歳を過ぎても予想以上に働き続けたことにある。ただし、主に再雇用などで週5日のフルタイムではないから、労働時間は大きく減少している。もう一つは、主婦パートの増加である。ここ数年、女性の労働参加率は顕著に上昇しているが、保育所の不足などもあってフルタイムはあまり増えておらず、「女性が輝く社会」とは言いがたい。配偶者控除の上限を気にして就労調整をするような短時間のパートが大部分である。

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