ディスコで踊り明かす若者の姿はバブルの象徴だった(KPS)

[記事のポイント]

(1) 中内功が量の拡大、堤清二が質の充実を掲げ、高度消費社会に日本中が沸いたバブル時代。30年経った今、なぜかバブルがうけている

(2) 作家の田中康夫氏は1981年の『なんとなく、クリスタル』に、少子化が消費社会が成りた立たなくさせる懸念を記した。だが現実はそれを上回っている

(3) ジャーナリストの永野健二氏は、バブルを崩壊させた日銀の「狂気の引き締め」を疑問視。今、人々があの時代のことを知る必要性を強く感じていると語る

 

作家 田中康夫
ウォークマンをつけると 「居場所」が見つかった

正確にいえば、バブル期よりも少しだけ前の時代のことである。1981年、田中康夫の書いた『なんとなく、クリスタル』が世の中を騒然とさせた。

都心の高級レストランやアパレルブランド、米西海岸の音楽情報をちりばめ、その一つひとつに合計442もの注がつけられた。ただの説明ではなく、どこかふわっとした「毒」をまぶしているのが、この注の面白さだった。

ナイキのスニーカー=「早い話が、ナイキ・ラインと呼ばれるライン入りのズックぐつです。」、レノマ=「フランスのメーカー。スエードのバッグは、手あかが付きます。」

高級ブランド品に身を包んだ女性は「クリスタル族」と呼ばれた。そんな社会現象的なベストセラーが生まれた数年後、この国は「バブル経済」と名付けられる熱狂の渦に深く入り込むことになる。『なんクリ』のブームはバブルの予兆だったのだろうか。

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