慶応義塾大学教授 井手英策 いで・えいさく●1972年生まれ。東大卒。東北学院大、横浜国立大教授を経て現職。著書に『財政から読みとく日本社会』など。(撮影:田所千代美)

貧しい家庭に生まれたらもう上に行く人生は描けない、なんて話をよく耳にする。お金持ちの家庭と教育水準がまったく違ってしまい、努力だけでは追いつけないというものだ。所得階層間の溝は年々深くなっているように感じる。

背景には経済の激変がある。日本経済は長らく家庭が貯蓄をして、そのおカネが銀行を介して企業へ融資されることで回ってきた。ところが1997年を境に家計の貯蓄率が急速に下がりだした。世界で日本企業の地位が相対的に低下したため、生き残りを懸けて人件費を削ったからだ。世帯当たり可処分所得は下がり続け、今や年収300万円以下の世帯が3割を超えている。

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