産業やまちづくりが転換期を迎えている名古屋で、とかく「閉鎖的」といわれていた名古屋人の気質にも変化が表れている。象徴するのが「ボイメン」ことBOYS AND MENのブレークだ。

ボイメンは2010年、東海地域出身、あるいは在住のメンバーで結成された男性10人ほどのアイドルユニット。ジャニーズ系のイケメンぞろいだが、学ラン風の衣装を着こなし、昔ながらの不良、ヤンキーを想起させる。プロデューサーの谷口誠治氏は「男性版宝塚」のイメージを目指しているのだという。

江口 忍名古屋学院大学現代社会学部教授。1965年、名古屋市生まれ。名古屋大学法学部卒業後、日本長期信用銀行入行、97年に共立総合研究所に移り、名古屋圏についてさまざまな政策提言を行う。同社副社長を経て2015年に退社し、現職。地域経済と都市戦略を専門に教鞭を執る。

谷口氏は大阪出身だが、名古屋に全国区のアイドルや芸能人を発掘、育成するシステムがないことに目をつけ、ボイメンを世に送り出した。その狙いは見事に当たり、名古屋で地道に露出を重ねながらじわじわと人気に火がつき、15年2月に地元で1万人ライブを成功させる。すかさずテレビ東京系列のアニメ主題歌を引っ提げてメジャー進出、今年前半にはシングルが2曲連続でオリコンチャート1位に輝くなど、まさに名古屋から全国へと羽ばたいた。

名古屋に生まれ育った私にとって、これはいい意味で信じられない出来事だ。02年、経済的に「元気な名古屋」といわれ始めた頃、出身地別の人気芸能人数を分析すると、愛知・名古屋は東京や大阪はおろか、地方都市に比べても最下位レベルで、つまり人口規模に対してタレントの輩出率が極めて低かったのだ。名古屋をどりなどの「芸能」自体は豊かなのに、それがなかなか外に発信できていなかった。

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