今は原発推進一色の経産省だが、以前は闊達な議論があった(撮影:今井康一)

1兆円超の巨額損失を計上し、東芝を解体に追い込んだ原子力子会社の米ウエスチングハウス(WH)。2006年の買収時も、相場の倍以上とされる6000億円強が投じられ物議を醸している。

当時、経済産業省は「原子力ルネサンス」と称して原発推進政策を進めていた。地球温暖化対策の切り札になるとして、世界では今後40年で年平均30基の原発建設が必要と予測されるほどだった。それが11年の福島原発事故で状況は一変する。新設計画の見直しや撤回が相次ぎ、今回のWHの経営破綻へとつながった。

だが、旗振り役だった経産省の、原発推進のスタンスは今も変わっていない。「(WHの破綻は)長期間原発を建設してこなかったなど米国固有の問題がかなりあった。この問題が直接的にわが国の原子力政策に影響を与えることはない」。3月末の閣議後会見で、世耕弘成経産相はそう語り、東芝問題が原発再稼働に与える影響は「ない」と断言した。

「経産省の原発推進の方針は、06年に出した『原子力立国計画』のままだ。原発事故後も変わらなかったし、今回の東芝の件を受けても同じだろう」。経産省幹部は内情を語る。この原子力立国計画は、原発の新増設の実現や核燃料サイクルの推進、高速増殖炉の早期実用化など、原子力産業のバラ色の未来で埋め尽くされている。その冒頭の「5つの基本方針」では、「『中長期的にブレない』確固たる国家戦略」「先(ま)ずは国が大きな方向性を示して最初の第一歩を踏み出す」などと、役所の報告書らしからぬ、前のめりで大仰な言葉が並ぶ。

変わらぬ原子力立国の夢原発推進策を強く打ち出した原子力立国計画。経産省の「原子力村」への配慮が色濃くにじむ止まらない

核燃料サイクルめぐり省内二分の大議論

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