[記事のポイント]

(1)経済学で「あるべき政策」を考えた場合、高等教育はむしろ無償化すべきではないとも考えられる。財源不足だけがその理由ではない。

(2)日本など授業料が有料の国の進学率は、無料の国より高い。大学で得る私的便益と費用を比較して進学を決める市場原理は十分に機能している。

(3)高い質を維持している米国の大学は有償だ。大学授業料を無償化して公的支出に財源を求めれば、支出削減圧力によって教育の質が犠牲になる。

 

「将来的には大学は所得制限なしの完全無償化を目指す。欧州はそうなっている」(自民党の下村博文幹事長代行)

急速に広まった永田町での高等教育無償化の議論。下村氏や日本維新の会のように全面的な無償化を目指す前のめりの論調も少なくない。

だが、「あるべき政策」として考えた場合、高等教育を無償にすべきでないとする二つの立場がある。

一つは、無償化には賛同するものの、財源状況を考慮し、消極的に否定する立場だ。

図表1を見てほしい。フランスやドイツ、フィンランドなど欧州諸国の一部は大学授業料が無料だ。一方、日本や米国は大学授業料が有償。両者の顕著な違いは、税・社会保険料負担率(対GDP〈国内総生産〉比)にある。この負担率の高い仏独などは大学授業料が無料で、負担率の低い日米は有償だ。

[図表1]
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