研究高度化や財政基盤強化のために、いまや必要不可欠となっている産学連携。その具体的な取り組みを、着実に成果を上げている大学で見てみよう。

危機意識をバネに得意分野に集中
山形大学

(出所)「2015年度 大学等における産学連携等実施状況について」(文部科学省)

山形大学は民間企業との共同研究の受入額が過去5年間で大幅に増加している。2010年度は受入件数150件、受入額1億4300万円だったのが、15年度には各367件、8億1500万円に拡大。年平均で約52.7%の伸び率となり、全国トップとなった。

その躍進の秘密は、得意分野への集中戦略にある。

「われわれは有機エレクトロニクスで世界一を目指すというビジョンを掲げ、その実現に向けて努力してきた」と話すのは、山形大学理事・副学長で社会連携担当の大場好弘氏。有機エレクトロニクスは有機半導体をベースにしたエレクトロニクスで、薄型ディスプレイに使われる有機エレクトロ・ルミネッセンス(有機EL)もその一つだ。

「世界一の研究拠点で地域に貢献する若者を育てたい」と語る大場副学長

山形大学がモデルとしたのは米国のアリゾナ大学。光科学に経営資源を集中し、優秀な研究者を集め、同分野における世界的な研究拠点となっている。山形大学には白色有機ELの開発者である城戸淳二教授がいたこともあり、有機エレクトロニクス分野を選択。基礎研究から応用開発、社会実装まで「世界一のサプライチェーン構築を目指す」という遠大な計画を09年に打ち上げた。

基礎研究から応用まで有望な人材をスカウト

まず取り組んだのが基礎研究における人材のスカウトだ。世界的に有名な研究者から将来有望な若手研究者まで次々と声をかけた。

基礎研究を担当する有機エレクトロニクス研究センターには、世界最高水準の製造装置や評価装置などが100種類以上そろっている。広いスペースの研究室が与えられ、研究スタッフなどの支援があり、研究費も潤沢だ。こうしたメリットに魅力を感じて、有機トランジスタ、蓄電デバイス、有機太陽電池など各分野の第一人者が徐々に集まり始めた。

プラスの視点 アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP