週刊東洋経済 2017年6/17号 [雑誌](勝ち抜く企業 今、確かな力が光る銘柄)(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
日経平均株価は6月2日に2万円台を回復。その後は2万円を挟んで一進一退が続く(撮影:今井康一)

日経平均2万円の攻防
今こそ成長企業に注目だ!

なかなか方向感をつかみにくい相場だ。日経平均株価は6月2日に終値で2万0177円をつけ、2015年12月以来となる2万円台を回復した。だが、6日にはドル円相場が1カ月半ぶりに1ドル=109円台まで上昇。輸出関連株を中心に幅広い銘柄が売られ、わずか3営業日で大台を割り込んだ。しかし翌7日は前日比4円高の1万9984円で引けており、下値も底堅い。

これは裏を返すと、日本企業を取り巻く経済環境は「よくもなければ悪くもない」ということの証左でもある。景気の方向性を示す製造業PMI(購買担当者景気指数)はユーロ圏が好調を維持する一方、米国や中国の低下が響き、グローバルでは16年半ばから続いてきた回復基調が頭打ちになっている。ただ、日本はモミ合いながらも直近3年間で見れば高水準を保っている。

(注)数値が50を上回ると「改善」、下回ると「悪化」 (出所)JPモルガン

ファンダメンタルズ(経済活動の基礎的要因)には底堅さがある反面、株価を押し上げるほどのプラス材料でもない。他方、国内外の政治動向やそれに伴う為替市場の変動を受け、株式市場は小幅な上下動を繰り返している。結果、日経平均が2万円を挟んで一進一退になっているのが日本株市場の現状である。

では足元のような相場環境で求められる投資戦略はいかなるものか。野村証券の松浦寿雄チーフストラテジストが推奨するのが「Back to basics(基本に立ち返る)」、つまり個別の好業績企業を丹念に見ていくことだ。

マネジメントの質が問われる局面

下図は6月16日発売『会社四季報』(17年3集夏号)の最新データを基にまとめた、業種別の経常利益増減率である。前期比38.3%増の鉄鋼を筆頭に、非鉄金属(同28.1%増)、その他金融業(同19.8%増)が続く。前期の赤字から今期は黒字に転換すると見込まれる海運業を除いた32業種のうち、21業種が増益となる見通しだ。

(注)前期赤字で今期は黒字転換の海運業は除いた。カッコ内は社数。▲はマイナス (出所)『会社四季報』最新データより本誌作成

ただし、業種別の増減益動向だけで判断するのは早計だろう。

たとえば前期比2.9%の減益が見込まれる陸運業界だが、日本通運は自動車部品輸送の好調や値上げの浸透などにより、最高益を更新する見通しだ。一方でヤマトホールディングスは宅配便の単価改善が想定されるものの、労務関連費などが大きく膨らみ、前期に続いて減益になると予想されている。同じ業種でもそれぞれの企業ごとに業況は大きく異なる。

JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは「今後はマネジメントの質が問われる局面になる」と分析する。

深刻化する人手不足に対応するための人件費の増加や原材料価格の上昇を受け、商品・サービスの値上げが日本企業にとって喫緊の課題となっている。だが需要を無視して値上げすれば、消費者が他社に流れ、売り上げが減少するおそれがある。値上げすべき自社の商品・サービスを経営者が見極められるかが、今後の企業業績を左右するというわけだ。

国内株の上値が重い一因として、日本企業の業績予想が慎重すぎることを指摘する向きもある。前出の阪上氏によると、TOPIX構成銘柄で3月期決算の企業を対象に集計した今期予想経常増益率は、事前のアナリストコンセンサスが11.0%増だったのに対し、会社計画は2.7%増にとどまった。『会社四季報』最新号データから算出した5.1%増と比べても低い水準だ。

確かにトランプ米大統領の政策の不透明感だけでなく、中東や北朝鮮の地政学リスクなど、海外情勢を中心にリスク要因は少なくない。これが海外事業比率が高い企業の先行きに対する見方を慎重なものにしていると考えられる。

だが今のところ、これらの問題が顕在化するというのは市場関係者の間ではサブシナリオにすぎない。今後、業績の着実な進捗が確認されて会社計画の上方修正が意識される状況となれば、好業績銘柄を中心に上値を追う展開も期待できそうだ。

(本誌:猪澤顕明)

プラス会員(有料)にお申し込みいただくと
下記のサービスがご利用いただけます。
  • 『週刊東洋経済』のすべての記事がWebで読み放題
  • 『週刊東洋経済』が毎号届く
  • 『会社四季報 業界地図』のコンテンツが閲覧できる

    ※一部のコンテンツは無料会員記事でも閲覧が可能です。

  • 東洋経済主催セミナー無料ご招待
プラスの視点 アクセスランキング バックナンバー一覧 TOP
業界地図
拡大する
『会社四季報 業界地図』2017年版

トリまとめ

日本の業界規模”トリ”まとめ

業界規模と業界の勢いを表したのがこの図。鳥や羽の大きさは業界規模、矢印は前年比増減を表す。拡大している業界は飛んでいる鳥で、停滞している業界は止まっている鳥で表現した。日本で最大の業界は単価が高い不動産で、足元は好調だ。パチンコ・パチスロのように規模が大きくても停滞している業界もあれば、クラウドやビッグデータのように、まだ小さくても伸び盛りの業界もある。