物流業界は輸送運賃の低落、ドライバー不足、貨物量の減少傾向など多くの課題を抱える。業界最大手で国際物流世界4位の日本通運はどんな成長戦略を描いているのか。今年5月に社長に就任した齋藤充社長に聞いた。

さいとう・みつる●1978年慶応義塾大学卒業、日本通運入社。2004年米国日本通運財務部長、07年経理部長、12年常務、14年副社長などを経て、17年5月から現職。(撮影:尾形文繁)

──業界は深刻な労働力不足に悩まされている。どう対応するのか。

人手不足は10年前から続いてきた。これまでは荷主に値上げ交渉をしてもうまくいかなかった。国内に6万数千社もの業者がいるからだ。だが、今は現場の疲弊問題が報道され一定の理解が得られるようになってきたので、値上げを進めている。人手不足の解消には社員の賃金や下請け業者の料金を引き上げざるを得ない。

──省人化など輸送効率化への取り組みは進んでいるのか。

トラックの自動運転化やドローンなどの活用を研究する専門組織を5月に立ち上げた。特に自動運転は相当の投資や人材が必要になる。業界のリーダーとして主導していきたい。法律やインフラ整備などのハードルは高いが、取り組んでいく。

──2016年度は最高益を更新するなど足元の業績は好調だ。

国内事業はコストコントロールで利益が出ているように見えるが、問題は減収であることだ。昨年12月に貨物量は底を打ったとはいえ、工場の海外移転や人口減で中長期的に厳しい状況が続く。

ただ、国内でも海外とつながる領域を取り込みたい。食品をはじめ消費財の越境ECが中国向けに拡大している。今後はほかのアジア諸国や欧米にも広がるだろう。

──海外売上比率(日本の輸出入を含む)は34%と伸び悩んでいる。

為替の影響もあるが、18年度に40%、早期に5割に引き上げる。牽引役は東南・南アジアだ。タイやマレーシアはもちろん、インドネシアも期待が大きい。5月に食品関連倉庫を開設したほか、資源需要を見越し営業拠点も新設した。ミャンマーでも6月に倉庫を新設したばかり。インドも含めて積極的に拠点投資をしていきたい。

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