『ライフ・シフト』は世界中で翻訳されて話題を呼んだが、日本の状況に合わせて書かれたわけではない。同書で描かれる未来は日本にも来るのか。日本人が実践するには何が必要なのか──。著者に聞いた。

英ロンドン・ビジネススクール教授 リンダ・グラットン
Lynda Gratton●人材論、組織論の世界的権威で、英タイムズ紙「世界のトップ15ビジネス思想家」などに選出。著書に『ワーク・シフト』など。2016年に英ロンドン・ビジネススクール経済学教授のアンドリュー・スコット氏との共著『ライフ・シフト』(小社刊)を刊行。(撮影:今 祥雄)

──本書で日本の読者にいちばん伝えたかったメッセージは。

100年人生というと、多くの人が晩年の過ごし方にばかり注目しますが、それではいけないということです。長寿化する人生では、あるときは仕事に集中し、あるときは自分への投資に専念するなど、人生のステージを変えていく必要が出てきます。おのおのが人生を再設計しなければなりません。

もう一つのメッセージは、おカネに換算できない価値、すなわち無形資産の重要性です。人脈や知識、健康といった無形資産は、金融資産と同様に重要で、あなたの人生を変えてくれます。

日本には驚くべき財産があります。平均寿命は世界トップクラスで、高度な教育を受けた人材が多くそろっています。ロボットや高齢者介護といった分野では最先端の技術を有し、いまだに手仕事の伝統技術も残っています。

一方、日本固有の課題もあります。一つは他国に比べ、働く女性の割合が低いこと。それから、他国のような起業家精神の基盤が乏しいことも問題です。長寿社会になると、多くの人が、ある時点ではインディペンデント・プロデューサー、すなわち組織から離れた独立生産者として働くようになると私たちは考えています。そうした基盤を、日本はもっと構築していく必要があります。

本書を日本で多くの読者が手に取ってくださったことに、私は興奮しています。それは日本に変化の可能性があるからです。この本が、日本で議論のきっかけになってくれればと思っています。

まずは健康を意識 デジタルスキル習得も

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