孫政才は山東省出身の農業の専門家。49歳で政治局委員に就くなど異例のスピード出世を遂げてきた(Imaginechina/アフロ)

習近平─李克強体制の後継レースにおいて、揺るぎない地位を獲得していたと誰もが考えていた孫政才・前重慶市党委員会書記が、突然、表舞台から姿を消した。

異変が確認されたのは、7月14日から北京で開催されていた全国金融工作会議の会場でだった。

中国で“七皇”と呼ばれる最高指導部メンバーが壇上に顔をそろえ、それと向かい合うように前列に座った党幹部たちの中に、当然いるべき孫政才の姿が確認されなかったのである。

テレビ画面にはいつものように1950年代生まれ(“50后”)の政治局委員と“60后”のエース、胡春華・広東省党委書記らが熱心にメモを取る様子が映し出されたが、そこに孫政才の姿はなかった。映像に加工の跡はなく、そもそも孫政才がそこにいなかったことを思わせた。

その後、15日に孫政才が重慶市党委書記のポストに再任されず、後任に習近平の元部下である陳敏爾・貴州省党委書記を起用するという人事が発表された。翌日の香港各紙では孫政才が14日夜に重大な規律違反の疑いで連行されたと報じられ、24日には党中央規律検査委員会が取り調べを行っていると正式に発表した。

後継候補の落馬──。このことは、政治の季節を迎えた中南海はいまだ低気圧に覆われることが避けられない現実をあらためて人々に知らしめただろう。

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