世界の大都市には住宅価格が法外なまでにハネ上がり、中間所得層ではとても手が出せない状況になっているところがある。都市を離れる決断を迫られている住民もいるようだ。

もちろん、すでに住宅を所有していて、売りに出す家があるなら、不動産価格高騰は思わぬ利益を上げられるチャンスだ。だが、売る家がなければ、ただ都市から追い出されるだけである。

影響は、単に経済的なものにとどまらない。中には、自分が生まれ育った街を去らなければならない人もいるのだ。生まれたときからの人とのつながりを失うことは、精神的に大きな痛手となりうる。その都市に長く住んできた人々が外に追いやられるとしたら、街はアイデンティティだけでなく、独自の文化さえ失うことになる。

住宅価格が高騰した都市は徐々に高所得者の居住区と化し、リッチな人々の価値観に染まっていく。所得階層で住む場所が分かれる傾向が強まれば、所得格差が広がり、社会的分断も拡大しかねない。

住宅の手頃感に関する米調査会社デモグラフィアの調査が示すように、世界の大都市の間には、すでにすさまじい格差が存在する。

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