自衛隊に入隊するまで、私や私の周囲の人を評価したのはストップウォッチだった。 

高校から陸上競技を始め、日本体育大学へ特待生として進学していた私にとって、人間の価値はそれぞれが持つベストタイムであり、それを決めるのは世界の誰が測っても同じ結果の出るストップウォッチだった。だから、つねにスッキリ納得する評価だった。

その後、私は海上自衛隊に入隊し、20年間在籍した。海上自衛隊の幹部は同期の中で何番目に高い評価を得ているかが「ハンモックナンバー」という形で公表される。どの職場にも毎年更新される幹部名簿が置いてあり、それを見ればほかの人が何番の評価を受けているのかを知ることができる。

私自身が幹部になってハンモックナンバーが発表されたとき、自衛隊という組織の評価基準がわかった。「そんなものなのか」と、かなりガッカリした記憶がある。高い評価を受けると自分の中で思っていた人たちは、たいてい評価が低かったからだ。

評価されない人は、己の評価を度外視して組織のために努力するタイプで、評価されるやつは、己の評価を最優先して自分のために努力するタイプだった。

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