米シリコンバレーは、IT革命を先導しさまざまな産業を激変させた企業の集積地だ。日本企業も近年、同地で活動を活発化させている。新しいテクノロジーとそれを使ったビジネスモデルを学ぼうと、業種を問わず駐在員を派遣している。だがこの動きと裏腹に、「日本企業には時間を割く価値がない」と考えるスタートアップ企業が増えている。

最大の理由は、「テイクばかりでギブがない」ことだ。注目度の高いスタートアップには、日本企業からの訪問の申し込みが殺到する。スタートアップの経営幹部は当初は「日本の大手企業との取引実績ができる」と期待し、喜んで会う。だが日本人駐在員の目的はあくまで情報収集。どんなに話が弾んでも、取引を始める権限をそもそも持たない。話を聞くだけ聞いて、その後のビジネスにまったくつながらないことが多い。

日本企業の経営トップが現地訪問することも珍しくないが、多くは戦略的な目的を持たず、あたかもサファリパークを見物するように純粋に視察だけして去っていく。プレゼンテーションのスタイルも不評だ。日本人が何十枚ものスライドを1時間もかけて読み上げる姿は、5分で自社の強みや他社との違い、ビジネスにかける情熱を伝え尽くすことで鍛え上げられたシリコンバレーのスタートアップ経営者には理解できない。

スタートアップは投資家から得たおカネを燃料にして、一刻千金の思いで成長を模索している。ビジネスにつながらない情報交換や表敬訪問は、時間の浪費以外の何物でもない。

日本企業に残る強み

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