日本初のLCC(格安航空会社)として運航を開始し、今年3月で5周年を迎えたピーチ・アビエーション。関西国際空港を拠点に、ピンクの機体と大阪の“ノリ”で人気を集める。成長力を見込み、ANAホールディングスが今年4月に子会社化した。

だが、足元ではアジアでの価格競争が熾烈だ。井上慎一CEOに、今後の生き残り策を聞いた。

いのうえ・しんいち●1958年生まれ。三菱重工業を経て、90年全日本空輸(現ANAホールディングス)入社。2011年2月、ピーチ・アビエーションの準備会社に転じ、同年5月から現職。(撮影:梅谷秀司)

──2016年度は4期連続で増収増益を達成したが、営業利益率を見ると初めて前年を下回った。

事業環境は非常に厳しくなり、単価が下がっている。特に国際線では、「片道10円」を掲げた香港のLCCのように、海外で投げ売りする航空会社が増えている。ただ、昨年台湾で潰れた会社があったように、身の丈に合った戦略でなければ健全な発展はない。彼らは耳を貸さないと思うが(笑)。

これは欧州のLCCも同じだ。8月に独エアベルリンが倒産したが、調べるとやはり競争が激化する中で疲弊していた。欧州最大手であるアイルランドのライアンエアーがどんどん安値を出していたからだ。小さな会社が価格競争に入っていってはダメなんですよ。

──ピーチはどう戦っていくのか。

今年度、経営の軸を「価格競争」から「価値創造」へと切り替えた。仮想通貨のビットコインで航空券を買えるようにするなど、ピーチに乗る価値を高めたい。

昨年、独フォルクスワーゲンとコラボした小型車「ピンクビートル」の機内販売は、「本当に307万円の車を売っているのか」と、新たな驚きを提供できた。実際、3週間で5台を売り切った。「面白いことをやる」というピーチのブランドイメージがあったからこそできたことだ。

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