子どもを学校に通わせている保護者にとって、厄介なものと感じられるのがPTAだろう。学研教育総合研究所の調査によると、PTAに「まったくかかわりたくない」「あまりかかわりたくない」と回答している人が6割を超えている。

ただしメディアなどを通じて伝え聞くイメージがあまりにも悪すぎて、保護者の中には内容を理解せずに食わず嫌いのまま避けてしまっている人も少なくない。PTAとはいったいどんな組織なのか、解説していこう。

PTAは戦後、日本の民主主義教育推進のために米国が勧奨して広がったものだ。現在の主な目的は「保護者と学校・先生が協力し合って子どもたちのためのことをする」ことだ。保護者と学校は子どもの教育や生活にかかわる責任をめぐって対立関係に陥りがち。そこで両者が協力して子どもたちのために行動しよう、という発想がPTAの根本にあると考えられる。

PTA活動の量や種類は地域や学校によって異なるが、給食エプロンの補修や校庭花壇の手入れなど学校の備品や施設の保全サポートをする活動、運動会や入学式、卒業式など学校行事の手伝いをする活動、バザーや資源回収、ベルマーク活動など学校におカネや備品を寄付するための活動などがある。また近年は通学路での交通見守りや不審者パトロールなど学校の敷地外での安全サポート、地域と学校の連携イベントを行うPTAも増えている。

子どもに関するものだけではない。講習会や給食試食会の開催など保護者の学習を目的とした活動や、役員選出や広報紙作成など活動内容を維持したり知らせたりするための活動もある。

かつては保護者のバスツアーや遠足、お茶菓子をつまみながら情報交換のおしゃべりをするといった懇親会もあったが、現在はなくなっているところが多い。保護者が楽しめる活動は減り、子どものための活動や保護者の学習のための活動は増加傾向にある。

PTAの目的や活動は決して悪いものではない。にもかかわらず敬遠されるのは、いくつか理由がある。その一つとして挙げられるのが「人間関係が煩わしい」ことだ。

任意団体なのに強制されるワケ

PTAはそもそも任意加入のボランティア団体だが、加入や活動への参加、会費の支払いをしばしば強制される。自分からやる人が少ないから強制的にやらせる、という発想になるのだろうが、それが原因で人間関係が悪化しやすい。これを嫌って、ますますやる人がいなくなる、という悪循環に陥っているのだ。中には仕事などが忙しくて活動への参加が難しい家庭や会費を払う余裕がない家庭も存在するのだが、そんなことは基本的に考慮されない。

またPTAでは活動するメンバーの多くが毎年入れ替わるため、何のためにPTAがあるのか、各活動が何のために行われているのかという目的が伝わらないまま、仕事だけが踏襲されがちだ。

そのため毎年恒例の活動を前年どおりにこなすことや、活動を継続すること自体が目的になってしまっている面もある。するとだんだんと、本来の目的から外れた活動や目的に照らして効率の悪い活動も出てくる。目的の見えない仕事をするのは誰にとっても苦痛だ。会員の「やらされ感」が強まるのはやむをえない。

組織形態も活動を強制する一因になっている。今も多くのPTAが採用する「委員会」方式は、「各クラスから必ず委員を選出する」という決まりになっている。このルールの下では、自分からやる人がいなければ強制的に委員を出さざるをえない。だからじゃんけんやくじ引き、不在者投票などで強制的に委員が選ばれてしまい、泣き出す母親が出てくる。

PTAの強制力が高まってきた背景には家庭の変化もある。少子化に伴って、そもそも保護者の数が減ってきている。共稼ぎ家庭や一人親家庭が増え、PTA活動に時間やパワーを割ける専業主婦のいる家庭が減った。

ところが仕事量は昔とあまり変わらないか、増えていることがほとんどだ。「子どものため」の活動なので、増やすのはいいこととなるが、減らすのには抵抗がある。その点は教員の仕事と同じだ。現在のPTAは担い手に対して仕事の量が多すぎるため、より「強制してでもやらせる」という発想が強くなっている。

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