宅配便の値上げで物流の一括請負業者を使う荷主が増えている(撮影:風間仁一郎)

「配送業者の値上げ要請は、企業努力で吸収できる範囲を超えていた」。担当者は苦渋の決断だったと明かす。

自転車販売大手のあさひは8月21日から、ネット通販で自転車を注文した際の送料を最大で2倍以上引き上げた(店頭受け取りは無料)。配送の多い関東地方向けは、税抜き2980円が4980円になった。

同社は家財を扱うヤマトホールディングスの子会社に配送を委託しているが、この1年で送料が倍増。業者の変更も検討したが、代替先を見つけられなかった。

ヤマト運輸の賃金未払い問題を契機に、物流業界では人手不足問題が顕在化した。ネット通販の急拡大などを要因として宅配便の個数は増加。再配達も多く現場は逼迫している。

送料の値上げは広がっている。ヤマト運輸と佐川急便に追随し、9月5日に日本郵便も宅配便「ゆうパック」の基本運賃を来年3月から平均12%引き上げると発表した。大手3社でシェアは9割を超えるため、大口荷主への影響は必至だ。

中でも大きな影響が出ているのが重量物の配送だ。あるミネラルウォーターの販売会社は、ヤマト運輸や佐川急便に委託してきた。定期購入者向けには一部地域を除き送料無料としてきたが、2社からは数割の値上げを予告されている。

「ボトルは重く、再配達で負担をかけていたのも事実」と担当者は語るが、配送コストはサービス料金の2〜3割を占めるだけに、窮地に立たされた格好だ。

宅配クリーニング「リネット」を展開するホワイトプラスも配送コスト削減を迫られている。2400円(税抜き)以上注文すれば往復送料は無料だが、ヤマト運輸からの値上げ要請を受け、最低金額の引き上げを検討中だ。「集荷と配送のダブルでコストが上がるため、頭が痛い」(森谷光雄取締役)。

同社は物流の一括請負業者に助けを求めた。顧客のニーズが高い宅配ボックスへの集配や21〜24時の夜間配達の委託を検討中だ。再配達をほぼなくせるのであれば、全体のコストは抑えられると見込む。

こうした中、ITを活用し、従来と異なるモデルで急成長する物流企業がある。

好調の物流ベンチャー

ベンチャー企業のCBクラウドは荷主と軽貨物ドライバーのマッチングで先駆的な存在だ。昨年12月から宅配受託を始め、ネット通販を中心に引き合いが急増している。配送ルートの自動作成や電子サインによる受け取りを採用、配送効率の向上とコスト削減を両立しているのが特長だ。

ドライバーの待遇改善も進めている。配達が完了して初めて料金を受け取るのではなく、再配送があっても時間当たりの料金を受け取る仕組みだ。現在の登録ドライバーは1800人。毎月200人ほど増えており、今後1年で5倍程度に拡大すると見込む需要に対応する考えだ。

配送をめぐっては、従来大口割引の恩恵を受けていたネット通販などの荷主と配送業者の力関係も変わりつつある。配送が維持できなくなれば、ビジネスモデルが崩壊しかねない。正念場を迎えているのは配送業者だけではないのだ。

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