第4次産業革命の波はなおも押し寄せているが、すでに「第5次産業革命」の起爆剤として、今後の成長が期待されている分野がある。それが合成生物学という分野だ。

合成生物学とは、見る(観察)だけではなく作る(合成)ことを通して生物を理解する、比較的新しい生物学の一分野だ。これは1965年のノーベル物理学賞受賞者、リチャード・ファインマンの言葉「What I can,t create, I do not understand」(作れないものはわからない)に凝集される。そんな生命システムを合成的に活用した産業展開が進んでいる。

特に近年、DNA(デオキシリボ核酸)シークエンサーや、ゲノム編集技術などのゲノム関連技術を基盤とする合成生物学が、世界で急速に発展している。

ここでは、ゲノムや遺伝子に組み込まれている遺伝情報が、モノづくり産業へとシームレスに活用される環境を「Internet of Biosystem(IoB)」と定義する。そして、IoB実現に向けたゲノム分野の革命的進展の現状を紹介する。

まず話を始める前に、IoBを理解するための基本単語である、「ゲノム」「遺伝子」「DNA」の違いを見てみよう(下図)。ゲノムとは、一つの細胞が持っているDNA全体をひとまとまりで示す総称であり、「1細胞に含まれるDNA全部」のことだ。そのゲノムの一部分として、その生物が生きるために必要な遺伝子群が散在している。

一方、DNAとはこれらゲノムや遺伝子を形作っている化学物質名の略称だ。DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)と略される4種類の分子が数珠状につながっている物質。たとえばヒトゲノム(ヒトの体細胞一つに含まれているすべてのDNA)は、この4種類の分子が約60億個つながっている物質から成立している。

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