日本音楽著作権協会(JASRAC)の運営に対し、批判の声が高まっている。JASRACは今年2月、音楽教室での演奏について、著作権の使用料を徴収すると発表した。これに対しヤマハ音楽振興会など音楽教室を運営する251の団体は、JASRACには使用料を徴収する権限がないとして、東京地方裁判所に訴訟を提起した。

著作権を持つ音楽家も、JASRACの運営に異議を唱えた。人気バンド「爆風スランプ」のドラマーとして有名なファンキー末吉氏だ。JASRACとの裁判で敗訴したものの「争点は社会全体の問題だ」とその問題点を激白する。

 

──JASRACは、音楽家の権利を守るどころか、活動を制限していると指摘されていますね。

末吉:そうだ。私は長らく、音楽家として印税や演奏使用料をもらう立場だった。ところが2009年に東京都内でオープンしたライブハウスの運営にかかわることになって初めて、支払う側の立場を理解した。そこで、JASRACとの契約や使用料支払いについて疑問を持つことになった。

17年8月に末吉氏は、JASRACは1.演奏家の利用許諾を不当に拒否している、2.実際に利用された曲の作詞・作曲者に使用料を正しく分配していない、3.不透明な運用を行っている、と三つの問題点を指摘。JASRACを監督する文化庁に対し、改善を求める上申書を提出した。中でも、作詞・作曲者に使用料を正しく分配していない点を問題視。JASRACがライブハウスに要求する契約、すなわち「包括的利用許諾契約」(包括契約、ページ中ほどの用語解説参照)のおかしさを指摘する。

末吉:私は全国のライブハウスで自分の曲を年間1000回近く演奏する。にもかかわらず、それに関する使用料を受け取った記憶がない。自分がライブハウスの運営に携わるようになると、JASRACは「店の広さと席数などに応じて、月額〇〇円を使用料として支払え」と言ってきた。包括契約をしろというのだ。JASRACはそんな尺度で使用料を徴収しているのかと初めて気づいた。彼らはライブハウスでの演奏曲目を把握できず、包括契約を隠れみのにして著作者に適切に支払っていないのではないかと思い至った。

──実際にライブハウスでは、曲目の管理をどうしていますか。

末吉:私が関与するライブハウスは演奏者に場所を貸すが、出演者が何を演奏するか把握することは今までほとんどなかった。ましてや、「これを演奏しろ」と強いたこともない。食事や飲料を提供するだけ。チャージ(音楽チケット代)はすべて演奏者に渡し、飲食提供のみで利益を得ていた。

曲目も曲数も場所も開示されない調査

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