在韓35年。朝鮮半島情勢の報道では日本を代表するジャーナリストである著者が、日韓の近現代史を掘り下げながら、今後の日韓両国のあり方を示す。

隣国への足跡 ソウル在住35年 日本人記者が追った日韓歴史事件簿
隣国への足跡 ソウル在住35年 日本人記者が追った日韓歴史事件簿(KADOKAWA/328ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──1907年のハーグ密使事件から87年の大韓航空機爆破事件まで、日本とかかわりの深い歴史を取り扱っています。

記者生活での体験や体験とゆかりのあるものを素材にした、体験的日韓関係史だ。

──韓国・北朝鮮の近現代史は、植民地支配が終わり南北分断後から今でも、日本とのかかわりの程度が強いままで変わらないように思えます。

この数年間、日本では嫌韓・反韓感情が強まり、「断絶してコリアと付き合うのはやめよ」といった国交断絶論をはじめ韓国を遠ざけようとする動きがある。それでも私が言いたいのは、朝鮮半島は日本にとって付き合わざるをえない国であり、同時に向こうからも押しかけてくる国で、離れられない関係であることを日本人は知っておくべきだということだ。

日韓の歴史で見せた日本人の気概を知る

──本書には、李朝最後の皇太子だった李垠(イウン)殿下と結婚した皇族・李方子(まさこ)妃(梨本宮方子、1901~89年)はじめ、有名無名を問わず多くの日本人が紹介されています。

日韓の歴史を刻んだ日本人を紹介したのは、日韓関係史で彼らが示した「日本人としての気概」を紹介したかったためだ。その代表例こそ李方子妃。彼女の人生は、激動の日韓史そのものだ。結婚自体が「お国のため」、すなわち政略結婚だったが、89年に亡くなられると韓国は「最後の王朝葬礼」といわれるほどの手厚い葬儀を行った。

このとき、多くの市民が「ウリ(われわれの)王妃だから」と葬列を見送った。中でも、正装をした老婆が路上で「クンジョル」という、地に頭を垂れる最大の敬意を示す礼を尽くしながら見送ったシーンは忘れられない。李朝を崩壊させた日本人の皇族出身ながらも、政略結婚という運命を身に引き受け、戦後は地道な障害児教育・支援を行われた姿を韓国民はよく見ていたのだ。

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