伝わる言葉の大原則は、論理的であることだ。にもかかわらずこれまでの国語教育では、「論理的に書く・話すスキル」がしっかり教えられていない。このスキルを身に付ける基本的な考え方を、東京大学大学院総合文化研究科の野矢茂樹教授(哲学)に指南してもらう。論理学に詳しい野矢氏は、大手企業の社員向けに言語表現を指導した経験もある。近著『大人のための国語ゼミ』(関連記事『本当に信頼できる指南書4選』)もビジネス層から好評だ。

論理的とは、「正しい根拠から妥当な結論が導き出されていること」と定義できる。論理学において、妥当な結論を導き出すには演繹法が最強。根拠となる前提を認めたら結論も必ず認めねばならないという論法だ。たとえば「すべてのアジア人は人間だ→渋沢栄一はアジア人だ→渋沢栄一は人間だ」というのは演繹法である。

だが野矢氏は「演繹が成立するほどまったく飛躍のない論証は、日常においてはめったにない」と指摘する。前述したアジア人の例のように、演繹として成立はしているが内容は言わずもがなで、情報価値が乏しいからだ。「日常において論理的に話す・書くうえでは、必ず何らかの飛躍が含まれる。この飛躍を、相手にそうと感じさせない程度に小さくすることが重要」(野矢氏)なのだ。

幅の広い川に論理の飛び石を置く

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