2020年のオリンピックに向けて、東京では都市の再開発ラッシュが続いている(撮影:今井康一)

東京オリンピックが不動産市場に与える効果について、さまざまな議論が交わされてきた。だが、これまでの開催地の歴史に学べば、過大な期待は禁物だとわかる。

海外の研究者たちが、過去のオリンピック開催地について検証したところによれば、アトランタオリンピック、シドニーオリンピック、北京オリンピック、ロンドンオリンピックなど、どの地域の調査でも、不動産市場には「効果なし、もしくはマイナスの影響」で結論は一致しているためだ。

北京オリンピックですらそうした結論が出ている。計量経済学的に検証した論文によれば、オリンピックは不動産市況にほとんど影響を与えていない。近年の不動産価格の活況は、人口構成の変化や経済成長に伴う社会経済要因によることが示されている。

ロンドンオリンピックでも研究者たちは同様の検証結果を出した。オリンピックが開催されたロンドンの中心部では、2.1〜3.3%の住宅価格押し上げ効果があったことが報告されている。しかし、これはオリンピックによる効果というより、そのために実施された開発に伴う利益によるものだった。つまり、もともと土壌汚染や工場撤退で廃れていたところ(ブラウンフィールド)に都市を整備したことが大きい。オリンピック開催というよりも、インフラ整備の恩恵である。

閉会した後も何も改善されない

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