銀行を介さずにやりとりできる仮想通貨はどこまで広がるか(ロイター/アフロ)

仮想通貨の存在感が日々増しつつある。投機商品として売買が過熱しているとの批判も出ているが、運用システムを支えるブロックチェーン技術により、二重使用や取引記録の改ざんを高度な水準で防止できたり、国内外の送金が安価かつ迅速にできたりする点が着目されている。今後、より便利な金融ビジネスを提供できる可能性が高まっている。

どの国にも属さない「ネット上の共通通貨」への注目が高まる一方、既存の金融制度に対するさまざまな影響も指摘されている。

最大のリスクは、各国の金融政策の実効性を毀損するおそれだ。1844年にイングランド銀行がポンド紙幣の事実上の独占発行権を得て以降、各国中央銀行も同様に通貨発行権を独占してきた。その権利を持つ代わりに、中央銀行は通貨価値の安定を求められ、金融調節を行ってきた。

仮想通貨が一段と普及し、世界レベルで独自の経済圏が構築されると、各国の金融政策の実効性が低下し、ひいては自国通貨の安定性を損なう引き金となるおそれがある。これは、昨年1月に公表されたIMF(国際通貨基金)協議文書「仮想通貨と将来に関する初期考察」でも、リスクとして注意喚起されている。

各国における資本流出入の規制が損なわれるリスクもある。世界には国際収支均衡と外国為替相場安定のため外貨取引を制限している国がある。だが、仮想通貨を使えば管理主体(国)を介さずに通貨取引を無制限に行える。たとえば、中国は1人当たりの年間外貨取引額に上限を設定している。2015年8月の人民元相場の切り下げを受け、国民はさらなる減価を予想し、人民元をビットコインに、さらにそのビットコインを米ドルなどの外貨に両替するという取引が急増した。

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