新連載の初回は、日本の首都のど真ん中にある東京都中央区を取り上げたい。中央区こそが、連載のテーマである「人が逃げる街」から「人が集まる街」へと大変貌を遂げた街だからだ。

中央区は隅田川を挟んで東側と西側に分かれる。北は馬喰町や浜町、南は晴海、東は水天宮や月島、西は銀座が境となり、面積約10平方キロメートルの小さな区である。

人口は1950年代に16万人程度だったが、地価が高騰するにつれ商店などが消え、住みづらくなった住民が土地を手放し、郊外へと引っ越していった。当時、こうした場合には「特定居住用資産の買い替え特例」が適用され、土地売却益に対する課税を繰り延べることができた。中央区は「人が逃げる街」だったのだ。

ところが人口は96年の7万1806人をボトムとして、驚くべきことに直近では15万人台にまでV字回復を遂げた。

こうした現象をもたらした要因は三つに集約できる。一つが97年の男女雇用機会均等法の改正だ。同法改正で女性の深夜労働や休日勤務が解禁となり、男女は平等に働けるようになった。郊外住宅で暮らし、夫が働き、妻が専業主婦で子育てというそれまでのライフスタイルが減り、夫婦共働きが当たり前となっていった。ちょうど専業主婦世帯数と共働き世帯数が逆転するのが、95年である。

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