貧困や栄養不足により、中国の農村部の乳幼児は劣悪な教育環境に置かれている(写真はイメージ)(Getty Images/Qilai Shen)

中国共産党の第19回党大会が10月18日から24日まで北京で開催された。習近平総書記の名前を冠した政治理念が党規約の行動指針に盛り込まれたほか、「社会主義の現代化した強国」という目標が示されるなど、習指導部の「自信」が表れた。

会議冒頭の3時間半にわたった活動報告で習総書記は、政権1期目における経済成長の成果を強調した後、社会主義の発展が「新時代」に入ったと指摘。今後は供給側構造改革の深化、特に経済発展を牽引する原動力としてのイノベーションの推進を重視するという姿勢が鮮明にされた。

中国経済におけるイノベーションの持続性を左右するのが、一つは知的財産権の確立、もう一つは新技術の開発を担う人的資本の向上だろう。前者の知的財産権については華為技術(ファーウェイ)のような国際特許数で世界1、2位を争う民間企業が台頭する一方、広東省深セン市などを中心に知的財産権の保護を重視しないオープンなイノベーションも盛んであり、基本的な環境は整いつつある。

では、もう一つの人的資本の向上に関する状況はどうか。これについて、そのカギを握ると考えられる問題を一つ取り上げておきたい。それは農村部における教育環境の改善である。

この問題について警鐘を鳴らしている識者が、米スタンフォード大学のスコット・ロゼル教授である。ロゼル教授は開発経済学の第一人者として、中国をはじめとしたアジアの農村で積極的なフィールドワークを行う一方、中国の大学や研究機関と共同で大規模な農村調査を実施し、その結果を基に数々の政策提言を行ってきた。

そのロゼル教授が現在取り組んでいるのが、中国の乳幼児を対象にしたIQ(知能指数)テストだ。ロゼル教授の研究チームは中国の農村部で初めて体系的なIQテストを実施。乳幼児の知能の発育がどのような状況にあり、それが将来の経済発展にどのような影響を及ぼすのかを分析したのだ。

その研究成果に基づく報告を、筆者は先日ロゼル教授から直接伺う機会があったのだが、その結果はショッキングなものであった。

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