【今週の眼】柳川範之 東京大学大学院教授
やながわ・のりゆき●1963年生まれ。慶応義塾大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

あらためて言うまでもなく、資本主義経済の基本は市場競争にある。そして市場競争は、消費者あるいは利用者が製品やサービスを評価する場だともいえる。

品質がより高く、利便性が高いと消費者が感じる商品、より安い価格で提供される製品が、消費者に評価され生き残る。そして、消費者に評価されるべく、企業はよりよい製品やサービスを提供しようと技術開発や製品開発を行う。

このように、消費者により評価される製品やサービスが生き残るというメカニズムを通じて、市場競争は資本主義を発展させてきた、というのが教科書的な理解だ。

しかし、現実にはこのようなきれいな形で市場競争が生じるとは限らない。そして、近年はその動きがより顕著になってきているように見える。それは筆者が以前から指摘している、「競争の前倒し」という現象が激しくなってきているように見えるからだ。

競争の前倒しとは、本来は消費者の評価によって優劣が決まるべき市場競争において、それより前のレベルで決着がついてしまう現象を指す。

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