第1志望の企業として強い希望を持って入社したのに、自分の思っていた仕事と異なるからと退職してしまう若者が少なくない。その一方で企業の側も、「この人こそ」と採用した若者が思うような働きをしてくれず頭を悩ませている。

そんな採用のミスマッチを解消しようと、AI(人工知能)を活用して志望者の性格や潜在力を分析し、採用に生かす企業が増えている。既存のエントリーシートやSPI(適性検査)、採用面接では評価しにくかった学生=志望者の人間力や可能性を発見できるシステムとして、導入を検討する企業も増加中だ。

これらAIを活用した新たな人事分析で何がわかるのか。「学生など志望者の潜在的な傾向を“見える化”できることが最大の特長であり利点だ」と言うのはInstitution for a Global Society(IGS)の福原正大社長だ。IGSは、人間が生まれつき持っている性格潜在力をAIで診断するアプリ「GROW」を開発・展開している。

採用後の評価が悪くなる企業は3割

エントリーシートや面接では、志望者のウソを見抜くことが容易ではない。「このような業務に就きたい」「自分はこんな仕事に合っている」と志望者はアピールする。しかし、本当にその適性があるのか、完全につかむのは難しい。採用面接のテクニックを伝授する塾や参考書もたくさん存在している。企業側も、志望者の実際の性格や適性を把握できないまま、学歴や志望者のやる気だけを信じて採用してしまうことが少なくない。

「これでは志望者も企業側も時間と労力をムダにするだけだ。そうした“お互いに不幸な採用”が蔓延している」と、福原社長は警鐘を鳴らし、AIを活用したGROWの評価を活用すれば不幸な採用を防ぐことができる、と提案をする。

実際に、IGSに相談が持ち込まれたケースにはこんなものがあった。東京のある中堅企業が「学歴不問で、イノベーションを起こすことのできる人材を」と採用を実施した。

この採用の志望者について、GROWでコンピテンシー(行動特性)や気質・性別、学歴などをスコア化し測った。その結果が下図だ。各項目で右に行くほど今回の採用で重視されたスコアが高く、左に行くほど逆になる。

この企業は「学歴不問」をアピールして採用に臨んだものの、結果として採用されたのは学歴の高い人だった。逆に、潜在的に「創造力」を持つ志望者を採用できていなかったことも見えてくる。つまり、会社が望む採用とはまったく異なる結果に終わってしまっているのだ。

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