「おい! ちょっと待て、この野郎!」

「何だ、てめえ!」

酔っぱらっているわけでもないのに、昼間から電車の中で40代と思われる男と60代くらいの男が大声でもめていた。まるで中学生のけんかみたいにベタなせりふで。

あそこまで感情が高ぶっているのに口げんか止まりだったのも理解できないが、電車の中でたまたま隣席に座った同士があんなに怒るというのも不思議だった。

意外と思われるかもしれないが、私は久しく怒りの感情を覚えたことがない。私ばかりではなく、特殊部隊員が感情をあらわにしたり、大きな声を出したりしているのを見たことがない。

もちろん、私たちの生来の性格が穏やかだからではない。各隊員とも基本的には正反対で、私も成人前は随分トラブルを起こしたし、特殊部隊員の中には傷害事件で高校を退学になった者もいる。自衛隊入隊後に暴行事件で処罰された者も含まれる。

にもかかわらず、なぜ私たちは落ち着いており、怒りの感情に精神を支配されることがないのか。その理由は、はっきりしている。私たちは、自然の中で非常に長い時間を過ごしているからだ。

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