12日、反テロのデモ行進には、世界各国の首脳に加えて、フランス全土で約370万人が参加(Getty Images)

仏週刊紙『シャルリー・エブド』襲撃に始まった連続テロを受けて、欧州内で緊張が高まっている。

1月13日には、フランスのバルス首相が「フランスはテロリズム、イスラム過激派との戦争に入った」と宣言し、治安対策の強化に乗り出した。ドイツでは12日、極右グループによる「反イスラム」デモに2万5000人が集まるなど、欧州各地でイスラム排斥の動きも広がっている。

今回のテロは欧州内の秩序、欧州と中東の関係、米国の政策にどのような影響を与えるのか。日本総合研究所の寺島実郎理事長に聞いた。

てらしま・じつろう●1973年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、三井物産入社。2006年三井物産常務執行役員。09年から多摩大学学長、三井物産戦略研究所会長。10年から日本総合研究所理事長。(撮影:梅谷秀司)

──今回の連続テロの背景には何があるのでしょうか。

テロがフランスで起きたことに正直驚いた。確かに、欧州におけるイスラム教徒の人口は1500万人を超すといわれ、フランスのイスラム人口も約500万人とされる。今回のテロは欧州が抱え込んでいる構図を浮かび上がらせたといえる。

ただ、フランスはこれまで欧州におけるイスラムとの交流地点であり、アラブ世界研究所や国際エネルギー機関(IEA)を擁する中東の情報起点でもあった。かつてホメイニ師がパリに亡命していたこともあり、先進国の中では比較的懐が深い国だった。

ところが近年、特にサルコジ前大統領の頃から(イスラム台頭は)フランスのアイデンティティを揺るがしかねないとの危機感から、イスラムの女性がかぶるスカーフを禁止したり、愛国心教育を強化し始めたりと、移民政策に急に神経質になってきていた。

世界でイスラムが台頭

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