与党支援候補を破り、佐賀県知事選挙で初当選を果たした山口祥義氏(中央、1月11日夜、佐賀市内)(時事)

「昨年の総選挙で勝利を収め、第3次安倍政権を発足させることができました」。正月明けの連休を山梨県鳴沢村の別荘で過ごしていた安倍晋三首相は11日、静岡県小山町の富士霊園を訪ね、祖父の岸信介元首相、父親の安倍晋太郎元外相の遺骨が分骨されている墓にこう報告したというが、心中はいささか、複雑だったのではないか。

そのとき、投票が進んでいた佐賀県知事選挙で、当初の予想に反して、与党が支援した候補者の劣勢が首相官邸から伝えられていたからだ。墓前に報告したとおり、昨年の衆院選で圧勝し、参院で否決された法案を与党で再可決できる「定数の3分の2」を引き続き確保しただけに佐賀県知事選の劣勢がなければ本来は余裕綽々(しゃくしゃく)のはずだったのだが。

案の定、この日深夜、与党支援の樋渡啓祐前武雄市長が、地元農業協同組合、首長、地方議員が擁立した前総務省過疎対策室長の山口祥義氏に敗北した。山口氏の獲得票数に対する樋渡氏の獲得票数、いわゆる「惜敗率」が8割に満たない完全敗北といえるものだった。昨年7月の滋賀県知事選、11月の沖縄県知事選に破れている安倍政権の「地方で勝てない」弱点は変わっていないことが浮き彫りになった。

また、「農協改革」に賛同した与党支援の候補者が破れただけに、安倍政権の成長戦略の行方に影響を与え、さらに4月の統一地方選挙で首長や議員が「安倍離れ」を起こすのではないかというおそれが、「超1強」状態にある安倍首相を悩ます種となりつつある。

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