中小企業のマクロ・パフォーマンス 日本経済への寄与度を解明する
中小企業のマクロ・パフォーマンス 日本経済への寄与度を解明する(日本経済新聞出版社/355ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
ごとう・やすお●三菱総合研究所政策・経済研究センター主席研究員・チーフエコノミスト、経済産業研究所上席研究員、CRD協会客員研究員。1964年生まれ。京都大学経済学部卒業、日本銀行入行。97年三菱総合研究所へ移籍。米シカゴ大学で経済学修士号、京大で博士号取得。

生産性改善を阻害する 弱者保護視点の支援策

評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

2013年10~12月以降、日本経済がプラス成長だったのは消費増税前の駆け込み需要が発生した14年1~3月だけで、それ以外はマイナス成長だ。消費増税で景気が失速したと考える人が少なくないが、13年末から日本経済は成長していない。実は13年末に日本経済は完全雇用に達し、ゼロ近傍まで低下した潜在成長率を大きく超える成長が困難になっていた。今や追加財政や金融緩和は弊害が強まるばかりで、成長率を高めるには成長戦略で潜在成長率そのものを改善させるしかない。

それでは、成長戦略は企業の実態に即したものとなっているか。わが国企業の実に99.7%は中小企業で、大企業はわずか0.3%に過ぎない。圧倒的多数を占める中小企業の生産性を改善しなければ、潜在成長率の向上はままならない。しかし、中小企業は実態把握すら十分とは言えない。経済学の世界でも、中小企業の定量分析は極めて限られる。本書は、中小企業の日本経済への寄与度を定量的かつ包括的に分析した力作だ。

先進各国では、大企業のダウンサイジングが始まった1980年代から、中小企業のプレゼンスは復活傾向にある。中小企業こそが成長の源泉というわけだ。だが、日本では一貫して中小企業のプレゼンスは低下している。産業構造の変化が影響しているだけでなく、多くの産業で新規参入が減少し、中小企業のウエートが低下しているのだ。

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