[今週の眼]三品和広 神戸大学大学院教授
みしな・かずひろ●1959年生まれ、愛知県出身。一橋大学商学部卒業。同大学大学院商学研究科修士課程修了。米ハーバード大学文理大学院博士課程修了。同大学ビジネススクール助教授、北陸先端科学技術大学院大学助教授などを経て現職。著書は『戦略不全の論理』など多数。(撮影:梅谷秀司)

停滞を打破するには人材を登用せよ。日本の歴史を振り返ってみると、それが難局打開の定跡のように思えて仕方がない。好例中の好例は、享保の改革や明治維新であろう。それまで活躍の場を与えられなかった下級階層から有為の人材を登用した効果は計り知れないほど大きかった。

国として見れば、織田信長や豊臣秀吉も人材登用に相当する。市井の感覚を持った彼らは、世界に先駆けて日本に広域経済圏を作り上げた功績を持つ。彼らのいない日本にポルトガルやスペインから外航船がたどり着いていたらと想像すると空恐ろしい。インドやインドネシアと日本が同列に扱われなかった保証はどこにもない。

戦後の復興にも似た面がある。敗戦が、信長や秀吉と同様の下克上を可能としたからである。それなのに、日本が米国顔負けのベンチャー大国であることを知る人は、意外と少ない。

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