日本はみんなF型大学だ

城 繁幸 人事コンサルタント

じょう・しげゆき●1973年生まれ。東京大学法学部卒、富士通入社。2004年独立。著書に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』など。(撮影:今井康一)

日本の大学の現状はF型、フィクション型であるというのが私の考えです。企業は新卒一括採用の際に、学生の成績をほとんど見ていません。学生のポテンシャルという名の、正確に言うと学校名と年齢しか見ていない。一方で私立大学を中心に、内定をもらえた学生に対しては、成績がどうであれ基本的には卒業を認めるようなところが少なくありません。

実際に大学教員と話をしても、「大学は完全に形骸化している」と断言する人が多い。現状がフィクションなんだから、この先大学がアカデミック中心のG型や実学中心のL型に分化しても何も問題はないのではありませんか。私は冨山和彦氏の提案には賛成。もっとこの議論を進めるべきです。

企業と大学の間にはずっと、鶏が先か卵が先かの論争がありました。大学に言わせれば「日本の企業は大学教育に全然期待していない。成績が出る前に内定を出すじゃないか」。一方、企業は「いやいや大学は当てにできません。だから自分たちで育てますので、邪魔しないでください」。そんな感じです。

それが近年は、ポテンシャルは高いがスキルはゼロという人をOJTで育てるのは、大手の製造業ぐらいにしかメリットがなくなっています。サービス業やIT系企業はむしろ、ある程度外部の教育機関で付加価値をつけて送り込んでほしいと思っている。業務的にじっくり育てている時間もないし、離職率も高いという業界ですから。さらに言うと大手製造業でも電機業界などは、新卒一括採用の人材では世界を相手に戦えないと思い始めています。

ただ学生には、この「スキルさえあれば大丈夫」という考え方は非常に危ういと言っておきたい。競馬の一点買いのようなもの。現実には10年後どんな職種が残っているかなんて、誰にもわからないのですから。

 

研究と実学には二分できない

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