r>gの正体とは(撮影:福川有仁・パリ在住)

『21世紀の資本』をめぐり、経済学界で最も物議を醸しているのが「r>g」の謎だ。

「ピケティ『21世紀の資本』を読む」で触れたように、rは資本ストックの収益率、gは経済成長率を表している。つまり「r>g」という不等式は、株や不動産、債券などへの投資による資本収益率がつねに経済成長率を上回るということを示している。

わかりやすく言い換えるなら、資本の成長率は、労働によって得られる賃金の成長率をつねに上回るということだ。富裕層は資本の成長の一部分を再投資に回すだけで、賃金の増加と同等かそれ以上のペースで富を増やしていくことが可能になる。持てる者と持たざる者の差がますます開くことを意味し、能力主義や機会の平等といった民主主義の価値観を足元から掘り崩す、悪夢の方程式ともいえる。

「r>g」が歴史的な事実だったことは、ピケティが『21世紀の資本』の中でいくつかのデータ的裏付けをもって説明しており大きな反論はない。問題はなぜ「つねに」資本収益率が経済成長率を上回り続けるのかを説明する経済理論が不足していることにある。このため、もし過去にはそうだったとしても、将来も必ずそうなると説得力を持って言うことは難しい。

「r>g」の謎を理論的に突き詰めていくと、「資本収益率(r)はつねに4~5%を維持するかどうか」という問いに行き着く。

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