ネットスーパーの大半は外部の運送業者に配達を委託する一方、宅配ピザは自前で配達を行っている。よく考えると、この差は不思議だ。同じ食品の配送でもスーパーの商品とピザとの違いは、どこにあるのだろうか。

これは経済学的には「企業の境界」の問題として考えられている。ある取引を組織内で行うか、市場を通じた外部取引で行うかの選択は何を基準になされるのか。

[図表1]
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ブラックボックスとして扱われてきた組織内の意思決定の論理を研究したオリバー・ウィリアムソン(2009年にノーベル経済学賞受賞)。

伝統的な経済学では、企業は単に利潤最大化を目指す機械のような存在と見なされてきた。同時に、社内の意思決定や資源配分の論理はブラックボックスとされてきたが、そのメカニズムを明らかにする研究も進んでいる。

その要点は「取引費用」の概念に代表される。取引費用とは外部委託に関する事態の予測や取引相手の模索、適切な価格設定、契約案作成などにかかる調整費用を指す。ビジネスの不確実性、複雑性が高くなると、こうした取引費用は大きくなる。

この分析に従えば、外部委託をやめて社内に事業を取り込むメリットは、外部との調整負担を軽減させ取引費用を節約できることにある。

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