特養の「利益貯め込み」批判には根拠がない(撮影:吉野純治)

政府は今年1月11日の閣僚折衝で介護報酬を2.27%引き下げることを決定した。消費税再増税が先送りされ、しかも、特別養護老人ホーム(特養)など介護施設が過大な利益を「貯め込んでいる」とのイメージが流布しているためか、「当然」あるいは「仕方がない」と受け止めている国民も少なくないように見える。

もともと、財務相の諮問機関である財務制度等審議会は当初6%の引き下げを提案していた。その根拠は、特養は「内部留保」が1施設3億円を超え「収支差率」も平均8.7%と中小企業の2.2%をはるかに上回っているというものだった。

今回の決定までには内部留保の概念について会計学上の論争があり、また、厚生労働省の調査では、内部留保と特養の経営状態との関係を精査する統計学を駆使した報告書も登場している。しかし、この2.27%は2003年の2.3%、05年と06年合わせて2.4%の引き下げ幅を超えないことを意図した、単なる政治的なものであったことが透けて見える。しかし、そもそも特養などの介護施設を経営している社会福祉法人が過大な収支差率を維持し、内部留保を貯め込んで「儲けている」というデータはあるのだろうか。

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