優しい家畜の羊がどう猛な狼に変わることがある。かつて小笠原でこの現象を実際に見た。

小笠原諸島は東京から1000~1300キロメートルの距離にある、30もの島の群れで成り立っている。東京都に属する。自動車のナンバーも「品川」だ。島名の由来は、戦国末期から江戸期にかけて信州深志(長野県松本市)の城主だった小笠原氏のかかわりによるものとされている。

しかしこの島に寄港する外国人も多く、嘉永6(1853)年に日本にやってきたペリーも、訪日の帰りに上陸し「この島は米国領である」と標柱を建てている。そこで幕府は文久2(1862)年に外国奉行の水野忠徳を派遣し、島々に父、母、兄、弟、姉、妹、聟(むこ)、嫁など親族の名をつけた。そして父島の二見港の丘の上に日の丸の旗を掲げ「日本領」であることを宣言し、各国に通知して承認された。東京府に属したのは明治13(1880)年だ。居住する島民もしだいに増えた。太平洋戦争になると、約6800人の島民が強制的に内地に送還された。

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